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マーケティングⅠ-その4(ソニー nav-u2編) [MOT in School M2]

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 今回は、最近国内でも本格普及が期待されているPNDについてご紹介します。PNDとは「Personal Navigation Device」の略で、国内ではカーナビゲーションシステムの一種と位置づけられます。PDA(Personal Digital Assistant)にGPSユニットを追加したものがPNDの発端になったと言われています。ちなみにPDAに携帯電話機能を追加した物を最近ではスマートフォンと呼んでいます。
 国内では主に地図をHDDに格納し、さらにAV機能を付加したフルスペックのカーナビが広く普及していますが、日経Automotive Technology 2008年1月号によると、年間360万台前後で生産台数は横ばいです。海外ではPNDが中心に普及していましたが、今後本格的に日本へ導入することで一層の市場拡大が期待されています。またPNDは従来のフルスペックのカーナビと比較して以下の理由で異業種からの参入障壁が低くなっています。

(1) 基本設計をPDAから流用しているので、ハードウェアのコストが抑えられる。
(2) デジタル地図が購入可能になったので、地図の開発投資が不要。
(3) 地図を収録するメモリが近年大幅に下落し、DVDのデュアルレイヤー(2層ディスク)とほぼ同容量の8GBが現実的になった。

 しかし、現在位置の測位精度やマップマッチングや経路探索のアルゴリズム等ノウハウが必要な部分は依然として参入障害になっています。そんな中、2006年に第1世代「nav-u1」で国内カーナビ市場に再参入したソニーが、万を持して投入したのが「nav-u2」です(コチラが分かりやすいです)。ソニーのHPを見ると、本機種の特徴は下記の3点です。

(1) 【簡単】 簡単取り付けピタット吸盤
 吸盤付き専用クレードルとシガライターソケットから給電可能なので個人でも取り付け可能。
(2) 【高性能】 新開発高性能 測位システム「POSITION plus G」を採用
 気圧センサ、ジャイロセンサ、加速度センサを搭載することで、GPS受信が安定しない地域でも高精度な測位が可能
(3) 【情報】 2GBフラッシュメモリ搭載により、豊富な検索データを本体に内蔵

 安価に簡単にカーナビを後付けしたいが、性能には妥協したくないユーザーの心をつかんで発売以来、計画の3台の出荷量なのだそうです。早速「nav-u」のマーケティングの4P分析をしてみましょう。

・Products(製品)

 「nav-u」は、競合他社と比較して下記2点が優れています。
(1) 測位をGPSのみでなく、3つのセンサを利用して、カテゴリーNo.1の測位性能を達成している
(2) VICSのビーコンユニットをオプションで用意している

 (1)は既に説明したので、ここでは(2)についてご説明します。VICSとはVehcle Information and Commnication Systemの略で、VICSセンターで編集、処理された渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムに送信し、カーナビゲーションなどの車載機に文字・図形で表示する画期的な情報通信システムです(VICSのしくみ )。フルスペックのカーナビではほぼ標準になっているものですが、PNDでは「nav-u」に初めて設定されました。私も自家用車のカーナビにVICSユニットを取り付けていますが、カーナビの画面に渋滞情報と、渋滞迂回路の探索を可能な為、大変重宝しています。VICSなしのカーナビなんて、ちょっと想像できません。

・Price(価格)

 販売価格は税込み60,000円で、競合他社とほぼ同価格帯です。競合機種に無い機能を追加してなお、価格据え置きを実現しているのはすばらしいと思います。またVICSユニットを別売りで購入しているユーザーはソニーによると約30%とのことなので、オプション設定で正解だったと思われます。

・Place(流通)

 「nav-u」はユーザーで取り付け可能になったので、流通は従来のオートバックスやイエローハットの自動車用品店の他に、ヨドバシカメラ等のカメラ店や大手ディスカウンターの販売数量も増加すると予想されます。従来のカーナビは取り付け難易度が高く、ユーザー自身の取り付けは事実上不可能でした。

・Promotion(販売促進)
 
 広告宣伝は主に雑誌媒体を利用しているようです。しかし、カーナビ安価に求めているのは、従来のフルスペックカーナビの購入層である30代の男性だけではなくもっと広範囲に渡ると考えられます。またPNDは国内ではまだ新しいカテゴリーであり、これの一般ユーザーへのさらなる認知を促進するために、TV CM等の媒体も今後は検討するべきでしょう。

 この「nav-u」をさらに魅力ある製品とするために、私は次の3つの提案をしたいと思います。

(1) 画面サイズを拡大して操作性を改善する。

 「nav-u」は4.8inchのワイドディスプレイです。 フルスペックのカーナビは画面サイズ7inchが平均的です。「nav-u」はタッチパネル等使い勝手を改善する装備はありますが、もう少し画面を大きくした方が操作性が改善するはずです。

(2) ワンセグTV、レーダー探知機等の機能追加

 コストと相反する部分ではありますが、せっかくLCDとGPSがあるのだから上記2機能はハードを共有することが出来ます。製品ラインアップを拡充するさいには是非検討するべきです。

(3) 地図更新を容易にする

 現行機種は地図更新機能がありません。メモリースティック等を利用してPCから地図をコピーするか、あるいは携帯電話と接続してインターネットからダウンロード出来る仕組みを整備するべきです。携帯電話の通信料も定額制が浸透しているので、決して不可能なことでは無いと思います。

ソニー株式会社 カーナビ "nav-u"

ナビオ君の特集PND

『カーナビの底辺広げるPND 2009年は100万台に』 日経Automotive Technology 2008.1

SONY パーソナルナビゲーションシステム NV-U2

SONY パーソナルナビゲーションシステム NV-U2

  • 出版社/メーカー: ソニー
  • メディア: エレクトロニクス

SONY VICSビーコンユニット NVA-VB7

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  • 出版社/メーカー: ソニー
  • メディア: エレクトロニクス

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テニスリゾート99

Peugeotさんこんにちは。この記事を見て以来ずーーーっと気になっていて、ついに購入してしまいました。現有のカーナビがディスクが読み出せずに起動しない状態になり、修理しようか迷っていたところで、安価でかつ使いやすそうなカーナビの登場に思わず心が揺れました。秋葉原のP〇爆弾(?)で45,500円(税込)。車で乗り付けていたのですが、5分もあれば、取り付け終了。即ナビゲーションとして利用できました。車速パルスを拾わなくても、GPS+各種内臓センサーによる測位で十分精度よくナビゲートしてくれます。動作も軽快でタッチパネルも使い勝手が良いですね。これまで使っていたものから液晶画面は小さくなりましたが、表示が奇麗で精細なため大変見やすく良好です。うちは車を2台で乗り分けているので、ピタッと吸盤でナビの引っ越しができるのは重宝しそうです。
by テニスリゾート99 (2008-06-16 22:08) 

Peugeot

 つい欲しくて買ってしまったのですね。そうでしょうそうでしょう(笑)。私はそうやってカーナビを自動後退店で販売していたのです(爆)。な~んて。
by Peugeot (2008-06-16 23:22) 

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