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ホンダ イノベーションの神髄 / 小林三郎 [Books]

ホンダ イノベーションの神髄

ホンダ イノベーションの神髄

  • 作者: 小林 三郎(元・ホンダ経営企画部長)
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2012/07/26
  • メディア: 単行本

 とある場所で、講演会を聞いて興味が湧いたので半年近くも前に買った本を、年末年始の休暇中のようやく読み終えることが出来ました。この本の作者は、ホンダでエアバックの開発で陣頭指揮をとった方です。1986年に世界初エアバックの実用化が発表されたときはかなり話題になったことは私も覚えています。開発に16年かかったそうですから諦めずに実用化までこぎつけたなんて大したものですよね。

 本書の内容は主に、16年間のエアバック開発の体験談を元にホンダのイノベーションを生み出す仕組みの解説と、これからイノベーションを起こし続ける為の、企業と開発者のあるべき姿を解説しています。

 この本を読み進んでいくとホンダ独自のしきたりの独自性に驚く部分は多々ありありますが、これは創業者本田宗一郎は二度と生まれて来ないのだから、普通の人間の複数の力で本田宗一郎の意思を受け継ぐために2代目社長の藤沢氏が考案し、後の3代目社長である久米氏が実行したのだそうです。

 著者いわく、今の日本企業にイノベーションが起きないのは、管理で出世した人材が会社を経営しているからであり、彼らにはイノベーションは理解できないし、なかなか実績も出ないので削減、中止の対象になってしまう。確かに会社の業務の内95%はオペレーションだが、残りの5%をイノベーションに割かないと企業全体のイノベーションが立ち行かなくなってしまう。

 イノベーションを起こすためにはメンバー間のコミュニケーションが重要であり、新規事業の顧客価値、すなわち「絶対価値」を一言で示す、良いコンセプトの共有が最も重要である。良いコンセプトをメンバー間で共有する為には、ワイガヤが有効な手段である。ワイガヤは三日三晩、一つのテーマで上司と部下別け隔てなく意見をぶつけあうことで、ひとつの共有解を得ている、のだそうです。

 私がこの本を読んだ感想は、バックグラウンドの異なる者同士でプロジェクトをスタートすると、互いの方向性が異なり、打ち合わせを何回やっても意思統一できないようなことが良くありますが、これは各メンバーのモチベーションが高い時に特に起こる現象であって、この時特定の結論を無理に押し付けて、先に進もうとすると特定のメンバーのモチベーションを下げてしまうことにつながりかねません。

 このとき、ワイガヤを通じて、「絶対価値」、「A00」、「三現主義」等のホンダ流の考え方で整理することで、「妥協案」ではない、現実的な「共有解」を求め、それを「高い志と強い思い」で実践していくのが「ホンダ流イノベーション」なのだと私は理解しました。ホンダ語の意味はぜひこの本を読んでご自分で確認していただくことをおすすめします(笑)。

 エアバック開発の顛末はコチラに顛末が記載されていますので、興味のあるかたはぜひご一読をおすすめします。

小説本田技研 第一話 安全への創造(ホンダ)


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