SSブログ

東京大学G-COEものづくり経営研究センター「2010年 ものづくり寄席」-その4 [MOT after Graduation]

 「ものづくり寄席」も今回を入れて残り3回になりました。今日の題目は、「インテグラル化と競争優位のメカニズム」です。「インテグラル化」とか、「モジュール化」といった言葉は製品開発論の中で良く出てきます。実は私の修士論文でもこれらを扱っていたりします(汗)。モジュラー型開発モデルの韓国、台湾、中国が席巻する業界において、インテグラル型開発モデルの日本がどのように立ち向かっていくかを考察しています(なつかし~)。

 今日講演される方は、東京大学G-COEものづくり研究センターの鈴木信貴さんです。鈴木さんの研究テーマは、「モジュラー型産業において、インテグラル型が実現出来るのか」です。...私の修論とちょっとかぶっているかも知れませんね(笑)。 

 NC工作機械業界は、富士通ファナックがアメリカで発明されたNCの国産化に成功した後、工作機械とNC装置の開発を分離してモジュラー化を行い、圧倒的な成功を納めました。現在でも業界シェア30%で世界No.1です。そうなると競合他社はファナック製のNC装置と組み合わせる工作機械を設計するようになりますが、ヤマザキマザックはその道を選ばず、三菱電機と組んでNC工作機械の開発を行う決断をしています。工作機械とNC装置のすり合わせを行った結果、ファナック製よりもツ使い易く、値段の安い製品の開発に成功し、工作機械メーカーとしては世界No.1になることが出来ました。この事例から分かったことは次のとおりです。 

・製品・産業構造は何もなければ徐々にモジュール化、水平分業化が進む。外的要因が無いとインテグラル化は難しい。

・アーキテクチャーの変化は自社にとってプラスになるのかどうか。組み立てメーカーと部品メーカーとの綱引

・インテグラル化を導く諸要因考慮。インテグラル化は、①技術変化があったとき②組立メーカーと部品メーカーの力関係に変化があったとき③統合・インテグラル化によって利益が得られそうなとき、に起こる。

・インテグラルの設計は長期的な視野が必要。例えインテグラル化で成功してもすぐにモジュラー型企業に追いつかれる。

・モジュール化が得意な組織・知識とインテグラル化が得意な組織・知識が異なる

 NC工作機械業界はモジュール化とは言っても、工作機械とNC装置の比較的単純な組み合わせなので、研究対象としては分りやすかったかも知れません。それと、ヤマザキマザックの話をもうちっと聞きたかったような気もするのですが、前半の先行研究等の説明に時間が費やされ、肝心の部分が時間的に圧縮されてしまったのは残念でした。ただその代わり勉強にはなります(笑)。鈴木さんの資料はとても詳しくていねいに構成されていました。これは自分でプレゼン資料を作る上で参考になりましたね。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0