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アーキテクチュラル・イノベーション / 田路 則子 [Books]

アーキテクチュラル・イノベーション―ハイテク企業のジレンマ克服

アーキテクチュラル・イノベーション―ハイテク企業のジレンマ克服

  • 作者: 田路 則子
  • 出版社/メーカー: 白桃書房
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本

 先日WBS MOT M2年の佐10さんに、「これいいよ」とすすめられた本があったので早速購入してみました。「アーキテクチュラル・イノベーション(Architectural Innovation)」とは、「ある製品システムが持つ構成要素(コンポーネント)の連結の方法が変わること。言い換えると構成要素をつないでいるアーキテクチュラル知識が変わってしまうことをいう」のだそうです。これだけだと何の事を言っているのかよくわかりませんが(汗)、次の表で分かりやすく説明されています。

Innovation2.gif

 クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」では、斬進的(インクリメンタル)イノベーションと破壊的(ラジカル)イノベーションに大別されていますが、これにモジュラー型(水平統合)の概念を取り入れたときに、機能特性は変化させず、相互依存性のみ変化するイノベーションが説明されておらず、この部分をアーキテクチュラル・イノベーションとして定義しています。 

 本著では、事例研究として松下電子(現Panasonic)のホログラム・レーザーの開発時の松下電子とオリンパスのコラボレーションを取り上げています。実際には、光学評価技術を有さない松下電子が、パートナーとして光学メーカーのオリンパスと協業していました。光ディスク読み取り用の光学ピックアップ向けの新しいホログラム・レーザーを開発するときに、オリンパスでは無理と考えられた半導体に関する仕様変更(シリコンを鏡面加工して光を反射させる、レ-ザーチップをシリコンに埋め込む)が、松下電子にとっては実現可能な技術であったことに気付きます。つまり、お互いの技術レベルが変わらなくても、知識を共有することで新しい技術を生み出すことが出来たというわけです。

 またこのアーキテクチュラルの変化を実現するときに、情報フィルターの制約を回避する為に、新しい人材を投入することの必要性を述べています。情報フィルターとは、「既存製品の文脈に合致するように知識を確立してしまうと、組織内には情報フィルターが発達してきて、それが既存製品の改善に重要と思われるものだけは通すが、新しい知識は通さず、その獲得を妨げようとする」というものです。

 確かに「アーキテクチュラル・イノベーション」という新しい概念を提唱しているので、興味は持つことが出来ますが、作者の田路さんは今までの論文をまとめて1冊の本にしているせいか、同じような記述が何度も頻出しているので、ちょっと読みにくい感じがしましたね(汗)。


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