パナソニックが三洋電機を買収へ [MOT in School M2]
国内メーカーによる、大型合併が実現しそうです。
「パナソニック(旧松下電器産業)は三洋電機を買収する方針を固め、三井住友銀行など三洋の主要株主3社と11月中にも交渉に入る。三洋株の過半を取得する案が有力で、年内の基本合意を目指す。三洋の電池事業を取り込み成長を加速するのが狙いで、合意すればパナソニックの年間売上高は11兆円を超えて国内最大の電機メーカーになる。電機大手同士のM&A(合併・買収)は初めて。米金融危機で世界経済が急減速するなか、大規模な産業再編が動き出す。」[2008年11月1日/日本経済新聞 朝刊]
パナソニックはJVC(日本ビクター)を手放して三洋電機を手に入れようとしている訳ですね。パナソニックとJVCはCE(Consumer Electoronics)分野で、フラットパネルTV、ビデオディスクレコーダー等の重複が数多くありました。三洋電機も家電メーカーですから同じく重複するはずなのですが、三洋電機はここ数年の構造改革で、家電メーカーから電子部品メーカーへ大幅に軸足を移しています。部品メーカーとしての三洋電機は、バッテリー、光学ピックアップ、太陽電池、そしてデジカメOEM等で高シェアを占めています。
パナソニックはこれら電子部品の確保を狙っているのでしょうか。パナソニックの開発体制は元々典型的な垂直統合型です。その為、新製品開発に必要なキーデバイスをほとんど自前で調達していますが、これらを積極的には外販していません。そこでてっとり早く部品の外販ビジネスを立ち上げる為には三洋電機を買収のは良い方法なのでしょう。外販が加わると部品の生産台数が増えるので量産効果によるコストダウンも期待できます。
ところでパナソニックと三洋電機は元々関係がある企業だったのは皆さんご存知でしょうか。1946年(昭和21年)に、当時松下電器(現パナソニック)経営者で、松下幸之助さんの義理の兄弟の井植歳男さんが、GHQから公職追放指定を受けて同社を退職した後に創業したのが三洋電機です。会社設立時に、松下電器からは工場を譲り受けています。
三洋電機が金融機関3社(三井住友、大和証券SMBCグループ、米ゴールドマン・サックス)へ発行した優先株(議決権に制約がある代わりに、配当金を優先的に受け取れる)4億3千万株の第3者への譲渡制限が'09/3月になくなるので、パナソニックはそこに着目した訳ですね。株価は下がっているし、銀行はお金が欲しいでしょうし(笑)。
11/4追記:
↓のkotaroさんのコメントにもありますが、「専務 島耕作」で初芝電産と五洋電機が合併していますが、私はてっきりシャープがモデルだと思っていました(液晶ネタだし、社長は若いし)。社名から考えても実は三洋電機だったんですね~。きっと(笑)。
弘兼憲史って、何か知ってたんですかね?
関係者の間では昔から予定されていたことなのかな?
by kotaro (2008-11-02 09:11)
弘兼憲史さんの作品には、うならされることも多いです。
きっと周到な取材活動をなさっているのでしょう。
by Peugeot (2008-11-02 12:37)
11/7についに合併に向けて両者が話し合いを始めることが発表されました。やはり太陽電池が目当てのようです。ところで当社はSANYOブランドと従業員は継続されそうですが、長期的んは見直しもあるとか...。
パナソニック、三洋電機の子会社化で両社長が会見(家電Watch)
http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/11/08/3140.html
by Peugeot (2008-11-08 11:07)