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経営は「1・10・100」 / 中村末広 [Books]

ソニー中村研究所 経営は「1・10・100」

ソニー中村研究所 経営は「1・10・100」

  • 作者: 中村 末広
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2004/04
  • メディア: 単行本

 先日、元ソニー中村研究所の豊島文雄さんのセミナーに参加しましたが、もう少し深耕してみようと思い、豊島さんの元上司の中村さんの著書を読んでみることにしました。Amazonで探すと、この本はすでに絶版になっているようですが、中古なら問題なく入手することが出来ます。中村さんは、イギリスのブリジェント工場に勤務された後、TV事業本部長、ディスプレイ・カンパニー、コアテクノロジー&ネットワークカンパニーのプレジデントを歴任された後、2002年にソニーの取締役副社長を退任され、その当時のソニーCEO、出井さんの勧めで、「ソニー中村研究所」を立ち上げました。生産改革等のコンサルタントや研修をご担当されていたそうです。

 ちょっとまとまりがありませんが、本文中の気になったところを抜粋してみます。「1・10・100」に関する部分は前回のセミナーでご説明しているので、ここでは割愛します。

・トータル・バリュー・ストリーム・イノベーション:価値連鎖(バリュー・ストリーム)全体を「真の付加価値」だけで結び、利益を最大化するという考え方。つまり、製造工程においても、部品の組立工程以外の輸送等の作業はムダであり、このムダを取り除くことによって、利益を最大化出来る。また在庫もまた真の付加価値ではない。お金が製品に姿を変えて眠っているということである。在庫を出来るだけ少なくし資金を回してゆくのが、ものづくりビジネスのコツである。

・トータル・バリュー・ストリーム・イノベーションの基本は次の3つ;

1.大よりは小:多品種少量生産用のラインを構成して、市場の需要変動による生産調整を容易にする。セル生産システムはこの為にソニーで考案された。

2.集中よりは分散:出来るだけ市場に近いところに工場を置くことによって、運搬という付加価値を産まない作業を減らすことが出来、さらにマーケットの動向も素早くつかめて、工場が市場と材料・部品の管理が容易になる。

3.グローバルよりはローカル:マーケットの近くで物を作って売る。現地で人を雇い、製品を作り、販売する。そしてある程度の裁量を現地に与える。ギブ・アンド・テイクの精神が原点。

・ムサシカーブ:台湾エイサーのスタン・シー氏が、組立加工が一番付加価値が少ないとする「スマイルカーブ」を提唱しているが、変化するビジネス環境においては、組立加工こそ全体の付加価値をコントロールできる。組立工場はまるで二刀流のように、右手で日々の市場の動向を感知して生産数量を素早くコントロールし、左手で原材料の調達をコントロールする。組立加工が最も付加価値が高いとするカーブを「ムサシカーブ」と名付けた。組立加工のアウトソーシングを推進してしまうと、全体の付加価値をコントロールできなくなってしまう。

・組織を動かす原理:人を動かすのは「テコの原理」であると考える。一人のリーダーが10人を動かすためにはテコが必要である。その場合、テコの支点が「目標」で、テコの棒が「日程」に相当する。大きくても小さくても構わないから、みんながわくわくするような目標、喜びを缶じられるような目標を設定する。そしてムダなことがやれないような日程を組む。これができればそのプロジェクトは必ず成功する。

 すでに6年近く前の著書であるために現在とは一部合わない部分もありましたが、中村末広さんの基本的な考え方は現在でも十分通用するのではないでしょうか。でも、全世界の工場に勝手に部品発注されると、材料・部品メーカーは数量と納期のとりまとめが大変ですよね(汗)。ところで「セル生産システム」と言えば、キャノンが国内工場で大々的に導入していることで有名ですが、始めたのはなんとソニーなのだそうです。ちょっと意外でしたね(笑)。


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