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フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」 / 奥山清行 [Books]

フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

  • 作者: 奥山 清行
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/03/01
  • メディア: 単行本

 Peugeot 406 Coupeを担当したピニンファリーナのデザイナー、ダビデ・アルカンジェリさんのことが元ピニンファリーナの奥山清行さんの著書、「フェラーリと鉄瓶」に収録されていると聞いてAmazonで古本を購入してみました。この本にはPeugeot 406 Coupeが良いデザインのクルマとして紹介されており、その担当デザイナーのダビデ・アルカンジェリさんのエピソードも収録されています。

 著者の奥山清行さんですが、もしかしたらKEN OKUYAMAと言ったほうが通りがいいかもしれません。GM、ポルシェ、ピニンファリーナでチーフデザイナーを歴任、ピニンファリーナ在籍時にあのエンツォ・フェラーリやマセラティのクアトロポルテをデザインしたことで有名です。2006年にピニンファリーナを辞めて帰国し、ご自身のデザイン事務所、KEN OKUYAMA DESIGNを設立して今日に至ります。最近では車のデザインのみならず、家具や鉄道のデザインにも進出されています。

Peugeot406Coupe.jpg

 この本によると、「ダビデ・アルカンジェリさんは、Peugeot 406 Coupeの全精力を傾けていて、最終生産設計に移ってからもクルマに張り付いていた。だからデザインのつじつまが細部までとてもよく合っている。例えばAピラーの下の難しいパネル割りのところなどは、「こんな難しいことをよくやったな」と感嘆するばかり。それがあるために、ボンネットとフェンダー間のカットラインからベルトラインまで、きれいなS字カーブを描いたラインが通っている。そのカーブの前と後ろのバランスの美しさなどは、気づかない人には説明しても分からないかもしれない。」そうです。

 また日本でカーデザイナーというと、スケッチからクレイモデルを作るまでのデザインを担当するのみで、後はエンジニアに引き渡すイメージがワタクシにはありました。しかし奥山清行さんは「デザイナーが絵だけ描ければいいわけではない」と言います。クルマ全体のコンセプト作りから、各パートの専門家の意見を「絵が描ける」という能力を生かしてビジュアル化することで調整をしたりするのだそうです。

 さらに上部への報告もしなければならないとなると、とても「絵を描いてさえいれば良い」とは言っていられません。ピニンファリーナにはこのような業務を行う「デザイン・ディレクター」というポストがあるそうです。差し詰め、カロッツェリア流プロジェクトマネジメントといったところでしょうか。

 そのほかイタリアという国がどんな国なのかとか、イタリアは社会主義的な色彩が濃いので企業改革は外国人を活用するとか、高い税金を課して整備した社会インフラが機能不全に陥っているのを個人の能力でカバーしているので、個人の生産性が高いとか、さらにはイタリア人は会議で合意形成がうまいなど、興味深い話が満載でした。

 ちなみにワタクシ的には次に行ってみたい国リストの筆頭にあるのがイタリアなので、新型コロナウィルスの騒ぎは収束した暁には是非とも訪問してみたいですね(笑)。

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