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荒くれ漁師をたばねる力 ド素人だった24歳の専業主婦が業界に革命を起こした話/坪内知佳 [Books]

荒くれ漁師をたばねる力 ド素人だった24歳の専業主婦が業界に革命を起こした話

荒くれ漁師をたばねる力 ド素人だった24歳の専業主婦が業界に革命を起こした話

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/09/20
  • メディア: Kindle版

 テレ朝の深夜番組で『激レアさんを連れてきた。』を見ていたら、山口県で漁師を仕切っている女性の社長が出演していました。バラエティ番組ですから、社長と漁師のやり取りを面白おかしく演出していましたが、そう言えば昨年の『カンブリア宮殿』でもやっていたように思い出しました。興味が湧いてきたワタクシは、この社長さんの本が出ていることを聞いて速攻でKindleで購入して2時間位で読んじゃいました(笑)。

 この社長である坪内知佳さんの経歴をざっとご紹介すると、語学か好きで将来CAを目指して海外留学していた知佳さんは大学在学中に病を患い、さらに当時交際していた彼との間に子供ができたので、大学を中退しています。結婚して旦那さんの実家である山口県萩へ移り住んで子育てを初めたものの、どうしても旦那さんと折り合いがつかず、シングルマザーになってしまいます。しばらくは得意の英語で翻訳の仕事をして暮らしていましたが、ホテルをコンサルしていたときに、たまたま手伝いで出た宴会の席で萩大島の漁師の船長の長岡さんと出会い、萩大島の漁業の立て直しに巻き込まれるのでした。

 彼女がやったことは、一次産業である漁業の六次産業化でした。六次産業というのは、いままで漁をして水揚げして漁協に渡せばそれで終わりだった漁師を二次加工、そして出荷まで担当するものです。要するに1次X2次X3次で6次というわけですよ(笑)。出荷先も従来の漁協の商流は使わず、高級料亭や高級レストランへ直送して、どの様な状態で魚が出荷されたのか分かる状態で納品されるわけです。

 値付けは送りての漁師がするので、より高い価格で販売することが出来ます。たまたま当時農林水産省が水産業の立て直し策として各漁協に提案していたとは言え、本当に実践してしまうのですから大したものだと思います。6次化案件で一番最初に審査をパスしたそうです。つまり坪内さんは独学で事業計画を作っちゃたんですよ(笑)。

 商売を軌道に載せるために坪内さんはありとあらゆる手を打ちます。このblogは一応MOTのblogなので(笑)、マーケティングの4P的にお話すると、まずPlace(商流)がレストラン、料亭へ直送で不良でも他から調達して発送する等、納期の絶対の遵守、次にProduct(商品)としては品質を保つための魚の締め方から梱包方法を徹底します。

 さらにPromotion(宣伝)としては、小さな子供を24時間保育に入れてまでも大阪まで出張して、飲食店で直談判してサンプルを送って販売先を獲得、その後は飲食店間の口コミで販路開拓していきます。その結果Price(価格)については、送りて主導で値付けしますが、品質問題の対応として代替品の発送をしたり、納期対応のために、別の港から仕入れた魚を発送したりしていたので、黒字化は長い道のりだったようです。

 坪内さんは「PC使えるから」くらいの理由で結局船団の社長に就任するわけですが、紆余曲折はあるものの最終的には荒くれ者の漁師を尻の下に敷くわけですよ(笑)。でも理屈が通じない人を説得するのは並大抵の努力では無かったようで、毎日漁師たちと喧嘩ばかりだったそうですし、結局説得に応じず辞めていった人も決して少なくなかったようです。

 坪内さんは去るものは追わなかったようですが、一方萩大島船団の存在が有名になるに連れて、漁業未経験者の若者も少なからず船団の門を叩いています。でもしかし漁師が反対した理由の中で、「反発したかった」というのはひどいですよね。内容じゃないんですから(笑)。でも理路整然と説得されるとぐうの音も出なかったようです(笑)。

 坪内さんは今や結構有名な方で、週に1,2度地方へ講演に行かれているそうですし、MBAのグロービスの動画にも出演されていました。最初はワタクシ、30歳位の人がこんな整然とした文章がかけるんだろうかと思っていましたが、講演で何度も話したことを文章化したということであれば、それも可能なのでしょう。丁度講演の時間くらいで読み終えましたし(笑)。

 でもこのサクセスストーリーの最大の貢献者はやはり船長の長岡さんだと思います。元々ご自分でも今の漁業に危機感を感じていて、「この人だ」と思ったら、いくら喧嘩しても良き理解者として最後まで味方につき続けるということも、普通の人にはなかなか出来ないことだとワタクシは思います。

 現在坪内さんは公演のみならず、他の漁協に対してもコンサルをしており、萩大島に視察に来た漁協のツアコンをすることを事業化して会社GHIBLIを立ち上げて、漁師の収入の安定に貢献しています。

 しかし事業を始めてから酢年で漁獲量は当初の半額になってしまったそうですから、「漁獲高が減ったらその分高く売る」ではなく。「魚を増やす=養殖」も考えないと行けないのではないでしょうか。ちなみに坪内さんは生態系を壊す規模の養殖には反対されています。


産経新聞 夢を追う







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