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夏への扉/ロバート・A・ハイライン [Books]

夏への扉

夏への扉

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/01/25
  • メディア: Kindle版

 今年の2月に山下達郎さんのライブへ行ったときに、達郎さんが「かつてキーボード担当の難波弘之さんのバンドへ曲を送った。難波さんはSF好きなので、ロバート・A・ハイラインの『夏への扉』をモチーフにした。」ワタクシは達郎さんの曲として「夏への扉」を聴いていましたが、今更ながらその事実を知って早速読んでみることにしました(汗)。

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 本作は1957年にロバート・A・ハイラインによって上梓されました。ロバート・A・ハイラインと言えば、あの機動戦士ガンダムのモビルスーツのヒントになったことで有名になったパワードスーツが活躍する「宇宙の戦士」の原作者です。

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 パワードスーツは翻訳版で「スタジオぬえ」がイラスト化しています。さらにこのデザインはガンキャノンをデザインするときに安彦良和さんが参考にしているとか。確かに似ていますね。あれ大河原邦男さんがメカデザインじゃなかったけ?ガンキャノンだけは違うみたいです。ちなみに「宇宙の戦士」としても映画化されていました。原題の「Starship Tropers」で上映されていたので、気が付きませんでした。しかも昨年も最新版が公開されたらしいですね。でもパワードスーツよりもバグス(虫!)との戦いにファーカスされているようで、しかもCGアニメですね(汗)。

 話がそれました(笑)。元に戻すと、この作品はタイムトラベルをベースに主人公の自分を会社から追い出した、マイルスとベルに仕返しをする、という話です。ダンといつも一緒にペルという名の猫が登場しますが、このことでこの小説を「猫小説」という読者もいるそうです(笑)。

 ストーリーは大雑把に言うと、1970年、最終核戦争を逃れたカルフォルニアで、発明家のダンは、友人のマイルスと会社を経営していました。マイルスには義理の娘のリッキーがいますが、ダンと仲良しです。女性の家事を軽減するロボット、文化女中器(Hired Girl)が大ヒットして会社の売上はますます拡大しようとしていたときに、マイルスと秘書のベルに会社を追い出され、当時実用段階に入ったコールドスリープ(冷凍睡眠)で30年先の未来へ送り出されてしまいます。

 30年後の2000年に無事覚醒したダンは自分の会社の30年後の有様に愕然とします。そのうえ別の会社が自分の特許を使った製品を販売して大成功していたのでした。そこでダンはあるとき2000年の未来にはタイムマシンが発明されていて、不完全でありながらも過去へもタイムスリップ可能であるということを知って、そのタイムマシンを使って過去の1970年に戻ることに成功します。そこでダンがしたことは...。これ以上はネタバレですね(笑)。

 SFなので未来の製品がたくさん登場します。まず文化女中器(Hired Girl)ですね。ネーミングはかなりイマイチだと思いますが、1950年台はまだ主婦の家事から開放されていなかったことの裏付けになるような気がします。次に製図機ダン。これは今のCADとプロッタプリンタが直結したようなもので、CADのご先祖様SketchPadが発表されたのが1963年ですから、先見の明があったのでしょうね。ちなみに入力は電動タイプライターでした。

 個人的には、技術者であり発明家であるダンが、あまりにも簡単に新製品を発明して、あっという間に試作してしまうところがややドン引きですが(笑)、タイムトラベルの要素を除くとこの作品、池井戸潤の「半沢直樹シリーズ」とあまり変わらないような気がします。

 一度作品を読み終わってから、再度山下達郎さんの「夏への扉」を聴くと、実に納得しました(笑)。作品のストーリーのエッセンスが見事に込められていましたよ。サビで「だからリッキー ティッキー タビー その日までおやすみ」とありますが、「リッキー ティッキー タビー」というのは、ダンがリッキーへ手紙を書くときに冒頭に必ず各文言で、「その日までおやすみ」とは(きっと)コールドスリープを指しているに違いありません。ちみに作詞は吉田美奈子さんです。今日はスッキリと腑に落ちた一日でした(笑)



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