アンドロイドは電気羊の夢を見るか/フィリップ・K・ディック [Books]
だんだんワタクシもブレードランナーにはまりつつある今日このごろです。ついにフィリップ・K・ディックの原作本まで手を付けてしまいました(笑)。長編小説なので、夜を徹して読み進めましたけど、読み終わって顔を上げたときに朝だったのかかなりショックでした(汗)。今回もKindle版をチョイスしました。ダウンロードすればすぐに手に入りますからね。
本作はオリジナルが1968年の作品、日本語に翻訳されたのが1969年です。この原作を元に、「ブレードランナー」として1982年に公開されましたが、スティーブン・スピルバーグ監督の「E.T.」の裏になってしまい、今日好成績は惨憺だった言われています。原作と映画は実際かなりストーリーは異なっていて、原作の世界観を借りて別のストーリーが展開されているというのが一番近い感覚でしょうか。
舞台設定はこれはほとんど同じです。未来のサンフランシスコが核戦争後東京をイメージして映像化されているそうですが、ワタクシは前近代の香港がモデルになったと聞いていました。確かに九龍(カオルン)半島の男人街とかあの辺りの路地裏の古い高層ビル群のイメージがワタクシにはピッタリきます。
でしょ?(笑)すでに香港はある意味ブレードランナーをすでに超えているかもしれません。
ストーリーでは、ブレードランナーとローゼン商会(映画ではタイレル社)のアンドロイド(映画ではレプリカント)のレイチェルと恋に落ちるところは同じですけど、そのストーリー上の意味合いが全く異なりますが、リック・デッカードが段々人間とアンドロイドの見分けがつかなくなっていく点は共通していますね。
ところで原作でも映画でも携帯電話が出てこないのが面白いですね。それ以外は実に良く未来様子を的中させているのにこれだけは本当に不思議でした。原作中に放射性降下物(核戦争後の設定なので放射性物質が飛散している)の天気予報が流れるシーンがありますが、いまでも天気予報でPM2.5を扱っていますからね。人工物という点では同じですから。
原作では人間以外の生物がほぼ絶滅しているので、ありとあらゆる生きている生物が珍重されています。リック・デッカードも最初は生身の羊を飼っていましたが、ふとしたことで死んでしまい、電気羊(ロボットの羊)に差し替えてごまかしています。
3体のアンドロイドを処理して賞金をもらったときに勢いで山羊を購入していますが、これもレイチェルにあえなく殺されてしまいます。「ブレードランナー2049」で一瞬山羊を売っているシーンがありますが、それはこのあたりのオマージュじゃないかと思いますね。
昔のSF小説って、想像力をたくましくして読まないと全然内容が頭に入ってこないので、今回も大分苦労しました。でも一旦この世界に入ってしまえば、逆にのめり込んでしまいますよ。ディテールの描写も映画よりもずっとこまやかに記述されているので、時間のある方はじっくりと腰を据えて読んでみてはいかがでしょうか(笑)。
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