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HD DVD or Blu-ray ?-その3 [MOT in School M1]

 東芝から公式に撤退の発表がありました。

「苦渋の決断」・東芝の西田社長、HD-DVD撤退を発表 (2008.2.19 IT PLUS)

 「東芝の西田厚聡社長は19日、東京・港の本社で会見し、新世代DVD規格「HD-DVD」に対応する商品の新規開発および生産を停止すると発表した。新世代DVDではソニーや松下電器産業が推進する規格「ブルーレイ・ディスク(BD)」と競合していたが、米映画会社のワーナーブラザーズが年初にブルーレイ支持に回ったことが決定打となり撤退に追い込まれた。撤退に伴う業績への影響はまだ確定していないという。

 東芝はHD-DVD対応のプレーヤーやレコーダーの開発と生産を停止し、3月末までに機器の出荷を停止する。パソコンやゲーム向けのHD-DVDドライブについても量産を停止する。HD-DVD機器の購入者へのサポートは、コールセンターの維持や修理用部品の8年間保有などで対応する。記録用のHD-DVDディスクについても利用者が入手できるように、ディスクメーカーと協議するという。」

 東芝は完全撤退のシナリオを選択したようです。既に出荷済のHD-DVD機器は、プレーヤーが100万台(国内1万台、北米60万台、欧州10万台、Xbox向け30万台)、PC向け光学ドライブは200万台出荷したそうです。買っちゃった人はこれから単なるDVDプレーヤー/ドライブとして使用せざるを得ないでしょう。HD-DVDを選択した映画会社はこの先どうなるのでしょう。Blu-rayに鞍替えするのは間違いないとしても、東芝に対して損害賠償は請求しないのでしょうか。またHD-DVDドライブの供給先、具体的にはhpなんかは黙っていないのではないでしょうか。

 東芝の西田社長は、撤退の原因を「Warnerの方針変更による事業環境の急変」としていますが、自社の過失については一切言及していないのが気になります。まぁ、ここで非を認めてしまうと、後の訴訟で太刀打ちできませんからね(汗)。ちなみに「現時点で、BDをベースにしたプレーヤー/レコーダを生産し、販売するという計画は全くありません」そうです。

 ところで、そもそもどうして規格が分裂したのでしょうか。「PC Watch」に興味深い記事がアップされていました。これによると、①HD-DVDの元になるものは、NECが開発した。最初SONYへ話を持ちかけたが断られたので東芝へ話を持っていったら採用され、「AOD」として発表された。②「Blu-ray Disc」の規格を決めるときに、東芝はDVDフォーラムで規格を策定することを提案したが、当時日亜との青色レーザーのNDAの関係で、公の場所で議論することができなかった。③2005年に規格統一を検討した時は、東芝よりの規格で決まりかけたが、日経新聞のスクープ報道で「SONY方式で規格統一」と書いてあったのは東芝として気に入らなかった。規格分裂のきっかけとなった。また、この報道はどうも規格統一に立ち会った第三者が漏らしたらしい。④東芝経営陣は0.1mm保護層(HD-DVD、DVDは0.6保護層)で規格統一を画策したが、技術陣は0.1mmでは量産できないと主張し、これを経営陣が説得できなかった。つくづく報道されていることと、真実は違うのだということを痛感させられました。

次世代光フォーマット戦争の軌跡【前編】 なぜ2つの規格が生まれたのか

 前回作った比較表をメンテしました。

 

   表 HD-DVD対Blu-ray Disc戦争とVHS対Beta戦争の比較


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kotaro

面白そうなコラム、見つけました。

★規格の勝者必ずしも事業の勝者にあらず
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080219/294214/?ST=biz_shinzui

松下の中村会長によれば
「これからの時代はハードウエア至上主義だけではだめ」
「マーケティングや特許ライセンスなどを含めた総合的な判断によって事業を進めよ」
ということらしいです。
by kotaro (2008-02-20 13:47) 

ぷじょ。

kotaroさん、情報提供ありがとうございます。

 2005年の発表された文章であることを割り引いても革新をついたないようだと思います。ただ、Blu-rayとHD-DVDが両方かかるハイブリット機はSamsungとLG電子から発売されたが、コストダウンが進ます、主流にはなりませんでした。
 記事には詳しくは書いてありませんが、「両方再生できる」と「両方記録できる」一緒に考えられている点で、例え「両方再生」ても、メディアの小売、レンタル業界としては結局2種類在庫しなければならないので解決にはなりません。
 DVD±R/RW、RAMの場合は、もともと再生専用の規格は統一されていて、なおかつ「両方記録できる」ドライブで記録されたメディアが「ほとんどのドライブで再生できる(一部駄目ですが...)」ので市場に付加価値として認められたいきさつがあります。
 東芝は2005年に自らのプライドを捨てきれず、自身の知的財産を最大化する機会を失ってしまったのですから、今回のような結末を迎えるのは当然だったと言えるのではないでしょうか。
by ぷじょ。 (2008-02-20 14:39) 

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