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HD DVD or Blu-ray ? -その2 [MOT in School M1]

 ついに東芝が白旗を揚げるようです。

 

東芝、HD-DVD事実上撤退へ・ブルーレイ勝利 ('08.02.17 日本経済新聞)

 「東芝が「HD―DVD」規格の新世代DVDから事実上撤退する見通しになった。ソニー陣営の「ブルーレイ・ディスク(BD)」との規格争いで劣勢に立たされ、事業を抜本的に見直す方針を固めた。これにより電機業界を二分してきた新世代DVDの標準規格争いは、BD方式の勝利で決着することになる。」

 撤退のシナリオはいくつかあるようです。①全面撤退②録画機から撤退③CE(Consumer Electoronics)から撤退、IT(光ディスクドライブ)、Game(Xbox)のみ継続、等が考えられるようですね。今週中にも決定されるそうです。動向が注目されます。ところで、米ワーナーがHD DVDからの撤退を宣言した、いわゆる「ワーナー・ショック」以来、様々な動きが業界内であったようです。

米家電小売レンタル大手、次世代DVDでブルーレイ支持続々 ('08.02.13 日本経済新聞)

 「米家電量販最大手のベスト・バイは11日、3月から新世代DVDでソニー陣営の「ブルーレイ・ディスク(BD)」規格の商品を中心に販売する方針を発表した。米DVD宅配レンタル大手のネットフリックスも同日、今後はBD作品を中心に取り扱うと発表した。」

米WalMartも、次世代のDVD規格もBlu-rayに決定 ('08.02.16 AV Watch)

 世界最大のスーパーマーケットチェーン米Wal-Martは15日(現地時間)、4,000のWal-MartとSam's Club storesとそのオンラインショップで、次世代DVD規格についてBlu-rayのみに絞り込むと発表した。棚スペースを再編成し、段階的にHD DVD製品の排除を数カ月で実施。6月までには、現在のDVDと同じように、その上位規格として、Blu-rayのハードウェアとソフトのみを供給する。同社では、HD DVD製品の在庫は販売を続けるが、30日未満で、Blu-ray製品が支配的になることが確認できるとしている。

 「ワーナー・ショック」前後の次世代DVDプレーヤーの北米販売シェアの比較も2/17の日経新聞朝刊に載っていました。'08/1第1週(発表前)にはHD-DVD:Blu-rayが48.8:51.2で拮抗していたのが、発表後の1月第2週になるとなんと、同7.5:92.5に激変してしまい、これで勝負がついてしまったようです。

新世代DVDソフト、ブルーレイが圧倒・米シェア、過去最大差

 「ソニー、東芝両陣営による新世代DVDの規格争いは、1月前半の米市場でソニー陣営の販売シェアが急拡大し、東芝陣営との差が過去最大に広がった。DVDソフト最大手ワーナー・ブラザーズがソニーの推す「ブルーレイ・ディスク(BD)」規格への支持を表明した影響が早くも出ているとの分析もある。複数の米メディアによると、13日までの1週間のBDソフトの販売シェアは約85%となり、東芝の推進する「HD―DVD」規格のソフトの15%に大差をつけた。BD関係者によると、短期間とはいえ販売シェアがこれほど開いたのは初めてという。従来のBDのシェアは60―70%程度だった。」

 ハードよりもソフトのほうが既にBlu-rayの方が優勢だったようです。ソニーの映画会社買収戦略がようやく功を奏したというところなのでしょうか。ちなみにソニーは、皆さんご存じのとおり、「コロンビア・ピクチャーズ」と「MGM」を所有しています。一方東芝はDVD立ち上げ時に米ワーナーと組んでいたわけですが、今回ワーナーが陣営から離脱した形になります。対等なアライアンスではなく、傘下に収めないとシナジー効果は発揮できないのでしょうか。

 ところで国内市場はどうだったのでしょうか。毎日新聞に年末商戦のシェアが公表されています。

 次世代DVDの方式別に集計すると、HD-DVD:Blu-rayは94.9:5.1でBlu-rayの圧勝です。国内では既に昨年末に決着がついていたといってい良いでしょう。ちなみにソニーはすでにHDD・DVDレコーダーから撤退しているので、Blu-rayではトップシェアでもレコーダー全体で見るとあまり大きなシェアではありませんね。

 また「VHS対Beta戦争」を雪辱したと各紙が報じていますが、本当にそうなのでしょうか。↓にVHS対ベータ戦争の当時とHD-DVDvsBlu-ray戦争を比較してみました。

 

                  表 フォーマット戦争比較

 比較して気が付くのは、①当時と今では各陣営のメンバーが異なる②映画会社が抵抗勢力から、陣営内で大きな発言権を有している③規格統一までの期間が大幅に短縮されている(14年→2年)、です、

①当時と今では各陣営のメンバーが異なる

 双方に共通しているのは、Panasonicが賛同したフォーマットは必ず勝利する、ということでしょうか。国内の場合メーカー系列店の販売力は無視できず、この為Panasonicがどちらの陣営に所属するかは、勝負の結末に大きな影響を与えるようです。しかし、↑のBCNランキングを見ると、3社とも薄型TVで大きなシェアを持つ企業です。このことから最近の消費者は、TVの買い替え時に同時に購入しているようです。その他、Beta陣営だった3社が3社とも、HD-DVD陣営なのが面白いですね(笑)。ソニーには相当懲りたのでしょうか。もっともNECは現在JVのソニーNECオプティアークでBlu-ray陣営です。

②映画会社が抵抗勢力から、陣営内で大きな発言権を有している

 ビデオデッキの時代、TV録画行為に市民権をもたらしたのはソニーです。コチラに詳しい記述ああるので参考にしてください。当時法廷を舞台に争っていた「ユニバーサルスタジオ」はHD-DVD陣営、「ウォルト・ディズニー」 はBlu-ray陣営の一員です。今や、多くの映画会社の同意を取り付け陣営が勝利します。ソニー「コロンビア・ピクチャーズ」や「MGM」の買収は公開の決着にすかなからず影響を与えていますから、先見の明があったということなのでしょう。しかし適正な投資額なんてとても計算できそうもありませんね。(フォーマット戦争に)勝利しない限り、回収はゼロですからね(汗)。

③規格統一までの期間が大幅に短縮されている

 VHSに統一されるまで14年間かかったものが、Blu-rayではわずか2年で決着がつこうとしています。これは当時より、普及率は従来より早く上がる見込みであるのと、規格統一に時間をかけると、HDコンテンツのネット配信が実用化段階まで達しており、(規格を)統一しても主役にはなれない恐れがあった為と考えられます。

 結論としては、フォーマット決定には多くのプレーヤーが存在し、ビデオデッキの頃とはずいぶん状況が変化している、といった感じになりそうです。今回このblogを書くのにいろいろと調べましたが、これだけ調べるとケースがかけそうな気がします。今度トライしてみたいですね。

「追記」

 東芝の声明が報道されています。

東芝、HD DVD撤退報道について声明 (2008.02.17 AV Watch)

 「東芝は、NHKなどが報じたHD DVDの撤退報道について、声明を発表した。

 報道では、「東芝がHD DVDについて撤退の方向で最終調整に入り、店頭販売は続けるが、生産や新規開発は終了する」などとしていた。東芝では、「現在市場の反応を見ながら今後の事業方針について検討はしているが、報道のような決定をした事実は無い」としている。」

 東芝が、「今後の事業方針について検討している」事実を認めていて、さらにNHKが報道していることから、おそらく撤退は本当で、情報がきっとリークして今回の報道に至たったのでしょう。


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コメント 4

テニスリゾート99

>ちなみにソニーはすでにHDD・DVDレコーダーから撤退しているので、
ちょっと驚きです。
ソニードライブの製品情報を見ても、ラインナップのすべての製品が生産完了品に。いつのまに撤退。。。そういえばスゴロクの他にもClipOnとかとかCoCoon、PSXといった製品もありましたね。集中と選択の結果、ブルーレイへと完全にシフトといった感じでしょうか
by テニスリゾート99 (2008-02-17 14:48) 

ぷじょ。

 私は「スゴ録」RDZ-800を所有していますが、日頃HD放送をHDDで録画して視聴しているのに、いざDVDへ書き出すと、SD画質(しかもあまり良くない(泣))になってしまうので違和感アリアリです。ダビング10対応のアップデートで元の画質でHDDに残したまま、コピーがとれるようになりますが、HD画質でコピーが取れることにこしたことはありませんね。
by ぷじょ。 (2008-02-17 15:24) 

kotaro

山本先生が早速、コメントされてますね。
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr253.htm

「米国覇権主義者の対日戦略上の思惑」に終始していますが。。
by kotaro (2008-02-17 16:14) 

ぷじょ。

 今回はそんなことより、とにかく米国景気を上向かせたい一心で「ワーナー・ショック」を起こしたような気がします。ところでデビット・サーノフ研究所のDVI(Digital Video Interactive)ですが、確かに時代の先端であったことは理解しますが、ソニーからビデオCDが1993年に登場したことを考えると、それほどRCAが進んでいたとも思えませんけどね。ちなみに1998年にこの事業はIntelに譲渡されているそうです。そのMicrosoftに紹介されて、「Video for Windows」の技術に組み込まれているんだそう。
by ぷじょ。 (2008-02-17 17:16) 

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